超上級者向けの「スーパー育苗器」の製作

DIY

これから製作する「スーパー育苗器」は、市販品では満足できなかったこだわりを形にした、理想の1台です。

一般的な育苗器は断熱構造ではないため、外気温に左右され外気温が低いと熱不足になりがちですが、この「スーパー育苗器」はその弱点を完全に克服しています。

ただし、製作には少し専門的な技術が必要なため、DIY初級・中級者の方は、まずはの「簡易版育苗器」からチャレンジしてみてください!

「スーパー育苗器」の外観と3つの大きな特徴

  1. 均一な熱伝導: 底面ヒーターの熱をアルミ板で拡散し、さらにファンで空気を攪拌(かくはん)することで、箱内の温度ムラを徹底的に解消します。
  2. 高い断熱性: 発泡スチロール製の外箱を採用。断熱性能に優れ、外気温に左右されない安定した育苗環境を実現します。
  3. 精密な温度管理: 高性能な温度コントローラーを搭載し、0.1℃単位での緻密な制御が可能です
外観
内側、空気攪拌のファン
温度コントロールと温湿度計

仕様

育苗器本体

これを何にするかで全ての構造・部品が変わりますので、とても重要な選択になります。
私は、ダイソーの「発泡箱80サイズ」330円にしました。内寸27.9×21.1×高さ14.4cm
この発泡箱は、小さくてかわいいし失敗しても被害が小さいから選びました。

この発泡箱に、空気攪拌吸気口、空気攪拌排気口、採光窓を加工していきます。

ヒーター近辺の温度が高いので、吸気口は下側に設置し排気口は上側に設置します。これで空気を攪拌します。

温度コントローラー

温度コントローラーには多くの種類がありますが、今回は使用するヒーターに合わせて12V用を選択しました。これに伴い、周囲の関連部品もすべて12V規格で統一します。

ヒーター

市販の育苗用のシートヒーターは、一般的に25×53cmというサイズが標準的ですが、今回用意した箱には収まりません。一方、サイズ展開が豊富な小動物用の保温シートも検討しましたが、ワット数が低くパワー不足が懸念されました。 そこで今回は、設置の自由度が高い「ラバーヒーター」を採用。10cm角で12Wという、コンパクトながらもしっかりとした出力があるものを選びました。このサイズのヒーター容量は10~20w程度が適当です。

ファン

今回の箱はコンパクトなため、攪拌ファンも最小クラスの2.5cm角を選びました。まずはこのサイズでテストを行い、もし風量が足りないようであれば、後日より大きなサイズへ交換する予定です。

ACアダプタ12V電源

SW電源でもよいのですが、ジャンクショップに行くと12V電源が300円ぐらいで売ってますので、今回はそれを使います。仕様は12V2A以上が適当です。

部品の価格表

価格は変動するので、参考程度に考えてください。
ヒーターをもっと安価なものを探せればもっと安くできると思います。・・・が安く作るのが目的ではありません。理想を追求するためです。

各部品、サイズ感をみてください
発泡箱
ケース
温度コントローラー
ラバーヒーター 12V1A
ファン 角2.5cm

製作手順

1. 外箱(発泡スチロール)の加工

まず、テンプレート型を木材で作りスチロールカッターを使用して本体を加工します。

  • 各部の切り出し: テンプレート型を作って採光窓、吸気口、排気口をそれぞれ切り取ります。
  • 窓の取り付け: 採光窓に下敷きを合わせ、ホットメルト(グルーガン)で隙間なく貼り付けます。
  • ファンの設置: 排気側ファンをホットメルトで固定します。また、虫などの侵入を防ぐため、吸気側に網戸補修テープを貼り付けます。
テンプレート型

2. アルミ板の加工とヒーター貼り付け

熱伝導をよくするためヒーターを固定するアルミ板を加工します。

  • 底面プレート: 発泡箱の底面サイズに合わせてアルミ板をカットします。
  • センサー金具: アルミ板の端材を活用して、温度センサーを取り付けるための専用金具を作
  • ヒーターをアルミ板に耐熱両面テープで貼り付けます。
  • 発泡箱の底にアルミシートを敷き、その上にヒーターユニットを組み込みます。

3. 電気系統の配線と組み込み

安全に動作するよう、丁寧な配線作業を行います。

  • ACアダプタ12V電源のプラグを切断し、電線がバラけないようはんだ付けをします。
  • 配線の延長: ヒーター線が短いため、必要な長さに延長します。接続部は、はんだ付けを行い、熱収縮チューブで確実に絶縁処理を施します。
  • 結線: ヒーター、ファン、センサーの各配線を取り回し、温度コントローラーへ接続します。回路図参照。
  • コントローラーの収納: あらかじめ穴あけ加工をしておいたカードケースに、コントローラーを収めて完成です。
蓋の窓を切り抜いたところ
窓に下敷きを合わせたところ、透明なのでよく見えない
空気攪拌のファン組み込み
アルミ板を加工、センサ取付金具も自作
アルミ板にヒーターを貼ったところ
センサを取り付けたところ
ヒータ線を延長したところ
ヒーターユニットを発泡箱に組み込んだところ
ケースにコントローラを収納したところ
空気攪拌用ダクト
攪拌ファン側ダクト取付

給・排気側

回路配線図

12V+は赤線、12V-は黒線で表示しています。
ファンは、吸気する向きで取り付けますので、風向を確認してください。
ヒーターはプラスマイナスはありません。

試運転

  • 動作確認・点検結果
    • 通電および基本動作
      • 電源投入後、各装置の正常動作を確認。
      • 攪拌(かくはん)ファンは正常に作動。
    • 風量・排気状態
      • 攪拌排気口からの排気を確認したところ、風量は不足気味
    • 温度制御機能
      • 設定値に基づき、リレーのON/OFFおよび温度制御が正常に行われていることを確認。
      • ヒーター発熱能力:+2℃/分(良好)。
    • 温度分布特性
      • 25℃の設定において、ヒーター付近と容器内の温度差が4℃発生
      • 45℃の設定において、ヒーター付近と容器内の温度差が10℃以上発生。
      • 容器内の温度ムラを確認。空気の攪拌不足。
  • 総合判定
    • 「育苗器」としての基本性能は満たしており、使用可能。
    • ただし、目標とする「スーパー育苗器」としては、温度ムラの解消が課題。

45℃設定
容器内は32℃、10℃以上の温度ムラがある

備考

現在、風量が不足している影響で、ヒーター付近と容器内の温度に差が生じています。理想的な環境づくりのためには、この温度差をより小さく抑える必要があります。

ものづくりは、常に思考錯誤の繰り返しです。1号機からのデータはとても貴重です。

そこで、空気の攪拌(かくはん)効率を高めるため、ファンの大型化を計画中。これらを反映した「2号機」の試作を検討しています。次回のアップデートにぜひご期待ください!

この「1号機」は、挿し木の環境づくりに使います。

コメント